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『六ケ所村ラプソディー』監督・鎌仲ひとみさん
エネルギーをたくさん使うと本当に便利?
六ケ所村にカメラを持ち込み、2年をかけてドキュメンタリー映画を製作した、鎌仲ひとみさん。
村民の暮らしを見つめてきた人だからこそわかる六ケ所村の”いま”、そして、”原発とは?”を
うかがいました。

私たちの便利な暮らしが六ケ所村につながっている
  「お待たせしましたあ!」と、額に汗して取材場所に飛び込んできた鎌仲さん。冗談を飛ばし
てはカラカラと笑う快活な人ですが、撮影時は孤独な戦いだったとか。
  「村の人に警戒され、心を開いてもらうのに1年かかりました。映画には、家族を養うために
再処理工場で働く村の人、かつては激しく抵抗したけれど、いま声高には叫ばない元漁師、安
全な米をつくりつづけたいと訴える農家の人が登場します。賛成も反対もいわず、できるだけ
淡々と現実を偏りなく撮ろうと思いました」
 03年から六ケ所村を見つめてきた鎌仲さんに、そもそも原発とは何か、再処理工場がなぜ
できたのかを解説していただきました。
 「私たちが使っている電気は、6割が火力、3割が原子力、1割が水力発電によるもの。原子
力発電ではウランを燃料にして高い熱を出し、電気を起こす。その結果、放射能を含む使用済
み核燃料が出ます。そこからプルトニウムなどを取り出して再利用しようという国の構想から生
まれたのです」
 村が受け入れたのはなぜ?
 「この工場のおかげで、たくさんの雇用が生まれています。あまり産業がない土地なので、そ
こで働くことで生活が成り立つ人がたくさんいるんですね。それが現実」
 鎌仲さんはこうもいいます。
 「”3割のエネルギーを原発に頼っているのは、なにも365日のことではありません。真夏の
いちばん暑い日中のピーク、1年で10日ほどだけ。それ以外は電気は余っているのだそう。だ
いたい電気ってそんな必要かなと思いますね。青森から羽田へと帰る夜の飛行機。外を眺め
ると、東京はまぶしく光ってる。自販機もコンビニもあんなに明るく、夜中に照らす必要はある
かしら? 便利=豊かという発想は、もう終わりがきているのかも。本当の豊かさのイメージを
塗り替えていってほしい」
選択肢は私たちの手のなかに……
 いま、『六ヶ所村ラプソディー』を見た人が、まだ見ていない人のために上映会を企画すると
いう輪が広がっています。
 「先日、350回を超えました。学生、赤ちゃんを抱えたママ……。いままでそんなことを考えも
しなかった人たちが、行動を起こしてくれたことがうれしい。六ヶ所の問題は、電気の問題や食
べ物など、暮らしにつながっているから、彼女たちを駆り立てるのでしょう」
 ヨーロッパの多くの国では、脱原発、自然エネルギー政策が整備され、普及が急速に進んで
います。「今後、どんなエネルギーを使うのか。テクノロジーを駆使しながら、環境を破壊しない
方法は必ずある。再処理工場に19兆円かけるのなら、自然エネルギーの開発に使ってもらい
たい。そして、なによりも大切なのは、便利で快適な生活の代償の中身を私たちがきちんと知
ること。知れば、未来への選択肢も広がり、おのずと進むべき方向が見えてくるはず」

『六ケ所村通信no.4』完成上映会開催
4月28日〜5月2日に東京のアップリンク・ファクトリーにて鎌仲ひとみ特集開催。
最新作『六ケ所村通信no.4』や『六ヶ所村ラプソディー』が上映。
上映後には卜一クショーも。
問合せ:グループ現代(下記)

あなたも上映会を開きませんか?
どなたでも自主上映会ができます。
六ケ所村ラプソディー』DVD貸出料:10万円/1日(応相談)。
問合せ:グループ現代 担当:巌本 電話:03−3341−2863
     HP=http://www.rokkasho-rhapsody.com/


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